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取引先が倒産したら?

工藤 英知さん 弁護士(東京) 
 
Question
    取引先から約束どおりの期日に支払がありませんでした。「資金繰りが苦しいらしい。倒産するかも。」との話も耳に入ってきます。どのような点に気をつけたらよいでしょうか。

Answer
   

@取引先の倒産に巻き込まれないために

まず、最も大切なのは信頼のおける取引先と仕事をするということです。そして、きちんとした契約を締結することです。契約書は当方に有利にもなれば不利にもなりますので、その内容について十分な検討をして下さい。また、ビジネス上の力関係によりますが、担保・保証を得られれば債権保全に大変役に立ちます。

A取引先が倒産した場合

取引先の支払遅延や倒産した場合になってから債権回収しようと思うのでは、正直、困難が多いです。この段階で、仮差押等の法的手続きをとったとしても債権回収できることは少ないかもしれません。やはり、倒産に巻き込まれないことが肝要です。

倒産に巻き込まれてしまった場合、担保・保証をとっていれば、原則として倒産の影響を受けずに担保権実行・保証履行請求ができます。商品引揚げ(これは相手方の合意等を得て行わないと、当方が刑事・民事上の責任を負う場合もあるので注意)等の手段も検討すべきでしょう。取引先に対する何らかの債権を有している場合には、相殺の通知を出して優先的に回収することも有効な段です。

法的な手続きに入った場合は、債権届出を行い、債権者集会等へ出席して、情報収集を行うことが大切です。

B債権管理の必要性

例えば、少々無理をして強引に100万円の仕事を取りました。しかし、この売掛金100万円が焦げ付いたら、その損失を取り戻すために、一体どのくらい売上が必要でしょうか。粗利1割の商売であれば、100万円の粗利を稼ぐのに1000万円の売上が必要です。売上があがらなければ元子もありませんが、経営者としては、攻め(売上増加)だけでなく守り(債権管理・回収)に対する意識も必要です。そのための時間・金銭のコストも考えた経営が必要です。

 
Question
    では、逆に、自社の資金繰りが厳しくなってしまった場合、どのような対応が必要でしょうか?

Answer
   

@早期対応の必要性

会社の資金繰りが厳しくなると、社長さんとしては、頑張って何とか会社を建て直したいと思うのが普通でしょうし、そのような前向きの気持ちを持つことは重要とは思います。

ただ、あまり無謀に頑張りすぎても傷口を広げ、対策が後手後手に回ってしまいます。通常、金融機関等からは社長個人の連帯保証を取られていますので、何とか建て直したいと思うでしょうし、また知人に連帯保証人になってもらっていた場合などはなおさらでしょう。運転資金等を借入れて、さらに負債が膨らんでいくという悪循環に陥ることが多いと感じています。

そのような状態になりますと、対応の選択肢も限定されていきますし、法的な再生や清算をしようと思っても、その費用すら捻出できないということになりかねません。民事再生や破産等の法的な手続きには裁判所に対する予納金や弁護士費用がかかりますので、最低限その準備が必要です。準備もせずに最後まで頑張ってしまいますと、法的な手続きもできず「夜逃げ」をするしかないということになってしまいます。そうなってしまっては、再起は困難です。

A法的対応策

資金繰りが厳しくなった場合の法的な対応策(事業自体の再構築・見直しが必要なことは言うまでもありません)としては、取引先と個別に交渉し、取引価額の見直し、債務の支払猶予や売掛金の支払期日前倒等の契約条件の変更等を行うことでしょう。個別対応では間に合わない場合には、会社全体で、全債 権者と任意に話し合いをしたり(任意整理)、あるいは民事再生を申し立てたり、それも難しい場合には破産申立をすることになります。

いずれにしても、早めに弁護士に相談するのがベターと思います。

※この記事は会報誌43号(2006年4月25日発行)に掲載されたものです
プロフィール
   

工藤 英知 弁護士(東京)

芝綜合法律事務所
URL http://www.shibanet.jp/

1998年弁護士登録。

(主な取扱業務)企業法務(法的調査 契約交渉・契約書作成 訴訟法務 株主総会 顧問会社の法律相談)、コンプライアンス・民事介入暴力。
事業再生・民事再生・倒産処理(破産・任意整理)。
民事一般(不動産取引、借地借家、交通事故その他不法行為、債権回収、民事保全・強制執行)、家事一般(相続・遺言・離婚)等。

キープラネット正会員


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