今の時代は、インターネットに、ホームページ、ブログ、掲示板という多様な表現手段が誰でも簡易に利用できるようになっており、それ自体は、大変素晴らしいことなのですが、簡易にしかも匿名で利用できるがゆえに、発言は常に責任を伴うという意識が情報発信者に希薄で、ときに第三者に多大な迷惑・損害を与えることがあります。また、過失によって、第三者に迷惑等をかけるのであればまだしも意図的に匿名で第三者を誹謗中傷する記事をインターネット上に公表する者も存在します。
(1)インターネット上で商品やサービスの情報を入手しようとするのは消費者が日常的に行うことであり、インターネットの広告効果は年々上昇してきているといっても過言ではありません。したがって、事業者の方もホームページに工夫を凝らす等して消費者に商品・サービスをアピールすることに余念がありませんが、インターネットの広告効果が高いがゆえに、他方で、何者かによって商品・サービスについて事実無根の誹謗中傷をまことしやかに公表されることによる名誉・信用失墜のデメリットも計り知れません。
(2)事業者がインターネット上で自社の商品やサービスについての誹謗中傷記事を見つけたときの対応として一番多いのは「無視をする」という対応です。たしかに誹謗中傷しているが、記事の内容が稚拙で、特に売上げに影響していると考えられないときは、無視をして粛々と業務に励むのも立派な対応の一つです。
(3)しかし、誹謗中傷記事が大変深刻な内容で、それがさも事実であるかのごとくまことしやかに記載されており、たとえば、「○○という記事を読んだけれど本当か」といった問い合わせがあったり、記事の掲載時期から売上げが落ち込んでしまっているような場合には、毅然とした対応をとる必要があります。
@まず、誹謗中傷記事の多くは匿名でなされているため、損害賠償請求や謝罪広告請求を誰にすればよいか分からないということがほとんどであると思われますが、その場合には、当該ホームページ等を管理しているプロバイダに「発信者情報開示請求」という裁判を起こす必要があります。そして、かかる裁判において、当該掲載記事が名誉・信用を毀損する内容であり、しかも真実でないこと等を立証し、勝訴すれば発信者の情報(氏名・住所等)がプロバイダから開示されることになります。
Aそして、発信者の情報が開示されたら、今度は、当該発信者に対して名誉・信用毀損を理由とする損害賠償・謝罪広告の請求をすることになります。ちなみに、名誉毀損の慰謝料は低額であるというのはこれまでの認識でしたが、インターネットの効果が徐々に高まっている今日においては、多少ですが、高額化の傾向にあると言えます。また、謝罪広告については認められないケースもありますが、損害賠償請求訴訟において勝訴すれば、「○○という記事については事実でなく、名誉・信用毀損であることが裁判において認められました」といった記事を公表することによって対応することも考えられます。
|