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カベも自分の肥やしにしてしまおう

さくらさん えほんらいぶ事務局 代表
 独身時代から長男を妊娠するまではバリバリのホテルウーマン。雑誌フリークで、活字に抵抗は無かったが、図書館は苦手、まして絵本とは全く無縁だったというさくらさん。
  長男誕生後、友人に移動図書館に連れていかれ、そこで出会った絵本に人生が変えられるほどの衝撃をうけた。「せんたくかあちゃん」(さとうわきこ/作・福音館書店)というその本は、それまで絵本とは子どものためだけのもの、と思っていた概念を払拭し、大人でも絵本が楽しめることに気付かせてくれたのだ。それからは移動図書館が来るたびに30〜40冊もの絵本を借り、年間600〜800冊もの絵本読みまくる。そして、いろいろな人に絵本の素晴らしさを伝えたいという思いから、三男が年長になったときにはJPIC読書アドバイザーの資格を取得した。
  2000年春、三男小学校入学を機に「えほんらいぶ」を設立。ところがチラシを作成して営業を始めた矢先、それまで子どもたち相手に絵本の読み聞かせをしていたボランティアさんから激しい反発、非難、そして容赦無いバッシングを浴びせかけられた。「仕事として意識をあげてほんまもんのステージにしたい」という思いがうまく伝えられないことにも苦しみ、ついには事務所を閉めることになってしまった。
  しかしその年の秋、どうしてもさくらさんのライブを見てみたい、という図書館館長の強い誘いを断り切れず、最初で最後という覚悟でライブを開催。目指したのは、親も子も、会場が一体となれる笑いあり、涙ありの参加型の読み語り音楽ライブだ。絵本の読み聞かせだけでなく、オリジナル曲の演奏やわらべうた、ゲームやクイズなども取り入れた。ライブ終了後、館長から「もっとやるべき、やりなさい、やり続けなさいね」と励まされた。この言葉に勇気づけられ、再起。翌年からはライブだけでなく、子育てについての講演やテレビ出演など活動の輪も広がっていった。
  もちろん、全てが順風満帆という訳ではなかった。スタッフが病気で通常のプログラムができなかったときには、保育関係者から有償でやる内容ではない、など厳しい言葉を投げつけられることもあった。悔しくて涙を流すような批判も耳に入った。辞めてしまおうかと悩むことも、へこむこともあったという。
  「『粘り強く』や『根気よく』ということと『執着』とは違います。だから、否定されてしまったり理解されなくてもそれはそれで『残念!』と見切りをつけ、一から出直したり、変身すればいいんです。叱咤、バッシングもなにくそ! と思えば、それはいい薬。ピンチはチャンス。それを切り替えるのは自分自身。大変だけど…、大変という字には、大きく変わるという意味もあるから。人を恨んでも何の解決にもならないし、悩んだところでどうにもならないことなら、きっぱり割り切ってしまうのも方法。そういう潔さも必要でしょうね。」
  2004年春からは府立高校で特別非常勤講師となり絵本についての授業も行っている。
  「どんなに自分が“素敵なことだ”と思っていても、誰もが理解してくれ、応援してくれるとは限りません。批判や反発もあります。でも、そのときこそ、自分の引き出しを増やし、成長できる絶好の機会なんですよね。」
  さくらさんにとって、カベにぶつかったときに一番大切だったものは人との縁。信じてくれる人の応援や、会場に来てくれた人の笑顔、それらが原動力になっているという。そして何よりも「お客さんに喜んでいただける仕事をしたい」という確固たる理想が彼女の背中をしっかりと支えているのだと感じた。
(取材・文 ささきなおこ)
プロフィール
    えほんらいぶ事務局 代表 さくら  −37歳−
業種:公演、講演、ワークショップ
http://plaza.rakuten.co.jp/ehonraibu

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