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代表・川野真理子


コラム「銀座物語」
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−銀座物語− 独立と人生は、キープラネットが発行している会報誌の巻頭に
代表の川野真理子が毎号掲載しているものをホームページに掲載しています。
※1998年創刊号から2005年39号までは「神宮物語」として配信していました。
  2004年7月36号 「仕事の意味」

 飛行機に乗り遅れた。  おかげで、青森から3回も電車を乗り継ぎ、5時間近くもかけて東京に戻ってきた。

 禍転じて福となすというけれど、この予期せぬ時間に聞いたお話は、その後、ずっと“仕事の意味”と“自分の使命は何か”を考えさせるきっかけになっている。  話をしてくれた人は起業講座の講師として同行した“独立事典”編集者。彼は、おもしろい事業をしている人や、熱い思いの人たちを全国に取材してまわり、その存在を誌面で紹介している。

 車中で聞いた話は、和歌山県のすさみ町という所で成功している海起こしの話だった。 漁師とダイバーは、元々仲が悪く対立する関係だったものを、双方が協力して「獲る漁業」から「観せる漁業」へと新しい価値観を創りだしたという話であった。 どんな事業かというと、漁師が自分たちの船でダイバーを潜る場所まで送迎するのだそうだ。ダイバーにとっても、海を熟知している先輩にいろいろ教えてもらえ、漁師にとっても自分の経験を活かせるし、船もそのまま使うことができるという。

 私がじ〜んときたのは、新しい価値を創りだしたということでもなければ、漁協や組合員や民宿の人から出資を集めて、収益が全部住民に還元されるという、言ってみれば、コーポラティブのスタイルで町おこしをやったということでもない。  もちろん、それはそれですごいことだな〜と思ったけれど、一番心に残ったことは、奥さんの故郷というだけで、中心になって動いた松田さんという人が、なぜこんなに手弁当で一年以上も、漁師のため、町のために頑張れるのかということだった。  損得でない“何か”が、こんなに人々の共感と信頼を得て、大きなことを成すことができるのだとすれば、それは一体何だろうか。

 人は本当にやりたいことに出会ったら、無限のエネルギーが出てきて、必要な人脈にも自然と繋がってくるのだろう。 「仕事」とか「使命」というのはこういうことなんだなぁと、漁師の喜ぶ姿や町が元気になった話を聞きながら思っていた。  自分の身体の奥からやむにやまれぬ気持ちで、自分を押し出してくるもの。能力だのキャリアだの、頭で考えるより、身体で考えて動き出してしまうようなもの、これを天職と呼ぶんだなぁと思った。

 もし、やりたいことがあるのにやっていないとすれば、それはなぜだろうか? 時間がないから? お金がないから? 喰うための仕事で忙しいから? 人脈がないから? 人はたくさん出来ない“理由”をもっている。

「川野さん、何が出来るかより、何をやりたいかで考えなさい」と、 昔、言われた言葉を、今更ながらに思い返している。

  キープラネット代表 川野真理子
http://www.keyplanet.com/kawano/index.html 西新橋にて
 
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