書店でビジネス書を眺めていたら、BSCがどうの、WBSがこうの、RSSがああだ、といった感じのタイトルを冠した本がやたらと目に飛び込んできました。仕事柄、経営管理やマーケティングに関しては勉強しているつもりですが、さすがに「ついていけないよなあ」という感想が偽らざるところ。
とはいえ、「新しい手法なんて知らん」というわけにもいかず。さりとて、それらの本を全部買う気もせず……。さて、どうしたものかとキョロキョロしていると、視界に入ってきました、いいものが。『最新経営用語辞典』みたいな本。「おおっ、これだ。これ一冊あれば、基本的な理屈はわかるだろう」。そう思って手に取ったところで、ハタと気付きました。「これはワナだ」と。
だって、都合が良すぎませんか? 難解な英文字が付いた本をさんざん並べたコーナーの、すぐ近くにその辞典が置いてあるんですよ。絶対、私のような人間を捕まえるための策略に決まってます。ふっ〜。危ないところだったぜ。
結局、そのコーナーにあった本は全部パスして、別のコーナーで見つけたノンフィクションを購入して店を出ました。その本、すごく面白そうなので、今すぐ読みたいと思っていたら、書店の隣に喫茶店がありました。ラッキー!
私は席を確保すると、オーダーをするだけして本に食らいつきました。運ばれてきた紅茶など見向きもせずに……。一息ついたところで、ハメられたことに気付きました。書店が仕掛けた「本の配置のワナ」はかいくぐったものの、ショッピングセンターが仕掛けた「店の配置のワナ」に捕まったのです。これはもう待ち伏せです。まあ、私は普段から待ち伏せの餌食になってるんですけどね。スーパーのレジに並んでいる時も、目に入ったガムとかドラ焼きとか、なんか知らないけど、ふらっとつかんでカゴに入れてたりしますから(笑)。
さて、「もう捕まらないぞ」と決意して喫茶店を出たところで携帯に着信。旧知のS嬢から。「日本シリーズ、一緒に観に行きませんか」と。この日が開幕だったのです。「甘美な誘い。これなら捕まりたい」。しかし私は関西出張中で、千葉に行くのは無理。泣く泣くお断りしたのです。行きたかった〜〜。
というのは、試合も観たいしS嬢にも会いたかったのですが、それにもまして、前々からスタジアム周辺の屋台を見てみたいと思っていたからなんです。実はS嬢こそ、マリーンズの経営改革を担ったチームの一員。彼女の解説付きで、新たに始めたファンサービスのあれこれを実地体験したかったのです。
でも、もし行っていたら、私はスタジアム内で使うお金のさらに何倍ものお金をスタジアム周辺で使っていたでしょう。捕まりやすいタイプですからね。「財布のひもが緩んだ人間を待ち伏せして何度も狙え!」。書店経営もショッピングセンター経営も球団経営も原則は同じですね。どんな商売も同じです。
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