独立事典のスタッフと共に、和歌山県すさみ町へ行ってきました。同町は、温泉で有名な白浜町と、本州最南端で知られる串本町のほぼ中間に位置しています。その二大名所に挟まれ、以前は観光客が素通りする町でしたが、最近はいろいろな取り組みが功を奏して、多くの人が訪れるようになっています。
その取り組みのひとつが「エビとカニの水族館」の開館。珍しいエビやカニがいっぱい飼育・展示されています。しかも入館無料。それなら多くの人が来るわけです。もちろん、無料で運営するための様々な工夫が行われています。建物は廃施設を利用。展示ブースは手作り。エビやカニは漁師さんからの贈り物。人件費は研修生を受け入ることで抑える……。究極の低コスト運営です。南紀へ旅行される方がいたら、ぜひ訪ねてみてください。実際、見応え十分です。ただし、自動車で行くなら、気をつけてほしいことがあります。
それは、水族館前の駐車場にたむろするネコたちのことです。駐車した自動車の下で居眠りをする連中なので、うっかり轢きかねません。実際、足を引きずっているネコを何匹も見ました。事故に遭ったままなのでしょう。痛々しい光景でした。水族館の方に尋ねると、「再三、注意しているのに、ネコを捨てにきたり、エサを与えたりする人が後を絶たない」とこぼしていました。よりによって、生き物の素晴らしさを伝える施設の前に捨てていくなんて……。
気がつけば、いつしか日本はペット大国。マーケットも拡大する一方です。でも、ペットは消費されるモノではありません。言い尽くされたことですが、ちゃんと飼えないなら飼わないでほしい。飼うなら本気で面倒を見てほしい。
私たちが「エビとカニの水族館」を取材をしていた頃、千葉県野田市では、別の独立事典スタッフが、(有)島田動物舎という会社を取材していました。イヌ、ヤギ、ヒツジ、ウマ、トカゲ、カメ……。さまざまな動物を専用バスに乗せ、あちこちを訪ねては、「ミニ動物園」を開催するのが同社の事業です。自分の家でペットを飼えない人たちから、とても喜ばれているそうです。
さらに同じ日、東京都目黒区でも独立事典の取材が。こちらは、ケガをしたペットが治療後、傷口や包帯を舐めないための服をつくる(株)ウォームハートカンパニーという会社。通常、治療を受けたペットは、首にエリザベス・カラーと呼ばれる枷(かせ)をはめられます。これで舌が患部に届かないようにするのですが、半面、ペットに大きなストレスを与えてしまいます。その問題を同社の「治療着」がクリアしました。
どちらもグッとくる事業です。こういう視点でのペット関連ビジネスが増えてくると嬉しいですね。そして生き物を愛する気持ちを育むために、すさみ町の水族館のような無料施設がもっともっと増えると素敵ですね。
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