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  【独立事典デスク:週刊「増田紀彦」通信】
第93回「木造アーケードの逆襲」 2004.06.25配信

 ベンッベベンッ……。「あっ、この音」。土産物店の前を通り過ぎようとしたら、中から、弦を強く叩く、津軽三味線特有の音が聞こえてきました。CDかなと思いつつ店内を覗くと、ナマで演奏していたんです。平日の午後2時にですよ。南津軽の小都市、青森県黒石市の街角での「ビックリ」です。

青森市で行われた「女性起業家支援セミナー」の講師を1 日がかりで務めた翌日、以前から見たいと思っていた「もの」がある黒石市に出かけました。東京へ戻る飛行機の出発時間までは、たっぷり余裕があったので。

 しかもすごい幸運が! 東京から一緒に行っていたNPO法人キープラネット代表の川野真理子さんは、その黒石にある高校の卒業生だというのです。川野さんの意向など聞かず、強引に案内をお願いしたのは言うまでもありません。青森市からバスに乗って1時間10分で到着。お目当ての「もの」はすぐに見つかりました。それは「こみせ」と呼ばれる景観です。何だかわかりますか?

あえて言えば「木造アーケード」。造り酒屋や旧家が並ぶ通りの歩道の上を軒(のき)が延々覆うのです。およそ350年前には完成していた設備とか。雪に閉ざされる冬でもなお、人々が街を行き交おうとした活力の証ですね。もちろん、夏の日差しをよけることもできます。

 しかし今や自動車社会。かつては町中に張り巡らされていた「こみせ」も、もう一角に残るだけとなりました。が、最近は私同様、この「こみせ」を見たくて黒石を訪れる人が増えているのです。生活インフラの残滓が、観光資源に化けたのです。もちろんこの変化は偶然ではなく、「こみせ」を保存し、再生し、さらには冒頭で紹介した三味線ライブの開催など、ハード・ソフト両面で観光を盛り上げる「津軽こみせ(株)」という町づくり会社の努力の賜物です。

「その町の人にとっては当たり前で、古臭くて、しかももうあまり残っていないけど、よその人が見たらびっくりするもの」。これって、実は日本中に山ほどあると思います。町づくりは漠然と手をつけるものではなく、核になる資源を決め、そこに多彩なアイデアを付加して育てるものだと痛感しました。

「でも、うちの町にはそんな立派な資源はない」と思ったら負け。さっきも書きましたが、黒石の成果も、本当に一角に残るだけの「こみせ」に目を付け、育て、伸ばしたものです。町づくりに限った話ではありません。ささやかでも、他人や他社にはない自分や自社の特徴を見つけ出し、その魅力を信じ、伸ばせば、今より何倍も脚光を浴びることのできる起業家はたくさんいるはずです。

 そんな「気づき」を胸に、川野さんと私は奥羽本線、東北本線、東北新幹線と乗り継いで、深夜、ヘロヘロになって東京に帰着しました。黒石の「時間を忘れさせる魅力」のおかげで、私たちは飛行機に乗り遅れたのでした(笑)。

  増田紀彦
  増田紀彦さんはキープラネットの副理事長です。
   
 
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